
上高地は日帰りでも行けるが、それだと最も静かな時間を必ず逃す。日中はバスで運ばれてきた人で河童橋が混み、朝霧が立つ大正池の時間帯には誰もいない。理由は単純で、マイカーが入れず始発のバスが着く頃には陽が高いから。中に泊まるか、沢渡や中の湯に前泊して始発に乗るかで景色が変わる。この記事では東京からの乗り換え手順、朝を取るための宿の選び方、2泊3日での歩き方を示す。
上高地は、行き先を決めるより先に「どこが何の役割か」を掴んだほうが早い。2泊3日で全部は回れないので、下のうち3〜4か所に絞るのが現実的。
焼岳の噴火で梓川がせき止められてできた池。立ち枯れの木が水面に並び、風のない朝は山が鏡のように映る。バス停があり、ここから河童橋まで歩いて下るのが定番の入り方。
梓川に架かる吊橋で、穂高連峰と焼岳を同時に見られる。売店と食事処が集まり、日中は最も混む。宿もこの周辺に固まっている。
河童橋から片道約1時間の平坦な道の先にある池。穂高神社奥宮の境内にあり、拝観料が要る。人が減り、水面が澄んでいる。
マイカー規制の境界にあたる場所で、駐車場とバスの乗り換え点がある。ここに泊まれば始発のバスに確実に乗れる。温泉宿が集まる。
優先するものを変えた3本。そのまま使っても、いいところだけ抜き出して組み替えてもいい。時刻はすべて目安。
初めて上高地を訪れ、主要な景色をひと通り見たい人
新宿から直行バスに乗るか、あずさで松本へ。バスなら乗り換えなしで上高地まで入れる。所要は4時間半前後。
バスターミナルで荷物を預け、まず河童橋へ。穂高連峰と焼岳を確認し、この土地の地形を頭に入れる。
河童橋から上流側へゆっくり進む。日中は人が多いが、少し歩けば急に静かになる。
上高地内の宿へ。日が落ちるのが早いので、暗くなる前にチェックインする。
食後に外へ出る。人工の明かりが少なく、晴れていれば星がよく見える。
暗いうちに出発する。宿から徒歩かバスで大正池へ。無風の朝なら水面に山が映り、霧が立つ。この行程の核心。
大正池から田代湿原を通って河童橋方向へ。木道が整備され、朝の光の中を1時間ほどかけて進む。
宿に戻って朝食。ここで一度休み、午後の行程に備える。
河童橋から梓川右岸を上流へ、片道約1時間。穂高神社奥宮で拝観料を払って池に入る。水が澄んで凍らない。
復路は左岸の林の道を選ぶ。往路と景色が変わり、同じ距離でも飽きない。
朝の光の中で橋に立つ。日中の混雑が嘘のように静かで、上高地の印象がここで決まる人は多い。
チェックアウトしてバスターミナルへ。土産はここでしか買えないので、必要なら先に済ませる。
バスを降りた場所で日帰り入浴。3日歩いた後に湯に入ると、帰りの移動が格段に楽になる。
高速バスまたは松本経由で戻る。渋滞を見込んで余裕を持った便を選ぶ。
長く歩くのが難しい人、景色をゆっくり眺めたい人
直行バスで上高地へ。乗り換えが無いぶん体力を使わない。
荷物を置き、宿の周辺だけを歩く。この行程では距離を稼がない。
橋のたもとに座り、日が傾くまで山を見る。時間ごとに穂高の色が変わる。
早めに休み、翌朝に備える。
歩かずにバスで大正池まで移動する。池のほとりだけを見て、無理に歩き下らない。
朝の一番いい時間を使い切ったら、あとは休む。
河童橋から数百メートルの範囲で、川沿いのベンチを移りながら過ごす。上高地は歩かなくても十分に見える。
バスターミナル周辺で休憩。午後は日差しが弱まり、山の陰影が出る。
2日目も早く休む。この行程は疲れないことが目的。
3日目の朝がいちばん空いている。ここで最後の写真を撮る。
バスで沢渡へ下る。
沢渡か乗鞍高原で入浴し、そのまま帰路へ。
帰りの移動に余裕を持たせた配分。
上高地内の宿が取れなかった人、費用を抑えたい人
松本まで電車、または車で沢渡を目指す。上高地に入らないぶん出発を遅くできる。
宿に入り、温泉に浸かる。上高地内より宿代が抑えられる。
乗鞍高原なら滝や湿原が近く、上高地とは別の景色がある。
始発バスの時刻を確認し、早めに休む。
沢渡から約30分。到着が早いほど大正池の霧に間に合う可能性が上がる。
バスを大正池で降り、田代池を経て河童橋へ。朝いちばんの時間帯を歩けるのが前泊の利点。
売店が開く時間。ここで一度休む。
体力があれば奥へ。無理なら河童橋周辺で過ごしてもいい。
同じ宿に連泊するか、中の湯へ移る。温泉で足を休める。
3日目は上高地に入らず、周辺で過ごす。
乗鞍岳の畳平まで上がるか、松本城と市街を歩く。天候で選ぶ。
松本駅周辺で済ませる。
あずさか高速バスで戻る。
| 交通(東京〜上高地 往復・バス乗換含む) | 約14,000〜22,000円 |
|---|---|
| 宿泊(2泊・1名) | 約22,000〜46,000円 |
| 食事(3日分) | 約8,000〜14,000円 |
| 拝観料・入浴・雑費 | 約2,000〜4,000円 |
| 合計の目安 | 約46,000〜86,000円 |
※1名あたりの概算。時期・人数・宿のプランによって変わる。
上の行程に出てくる場所を、もう少し詳しく。
日の出前後、水面から霧が立ちのぼり、立ち枯れの木と穂高連峰がその上に浮かぶ。無風で放射冷却のあった朝に最もはっきり出る。
上高地内に泊まるか、始発バスに乗らないと間に合わない
梓川に架かる木製の吊橋。上流側に穂高連峰、下流側に焼岳が見え、上高地の象徴になっている。橋の下の梓川は透明度が高い。
日中は人が多い。朝7時前と夕方は空いている
大正池から河童橋へ向かう途中にある浅い池と湿原。木道が整備され、水草と伏流水が澄んでいる。歩く人が分散するので静か。
大正池から徒歩約30分。ここを通る道を選びたい
穂高神社奥宮の神域にある池。一之池と二之池があり、常に水が湧いて凍らない。周囲の木立と岩が水面に映る。
拝観料が必要。往復2時間を見込む
河童橋から明神まで、川の右岸と左岸の両方に道がある。右岸は木道が多く歩きやすく、左岸は林の中を通る。往路と復路で変えると景色が二度楽しめる。
平坦だが片道1時間。歩きやすい靴で
楽天トラベルに掲載されている実在の宿から選んでいる。料金・空室は各宿のページで確認できる。





4月下旬の開山から11月中旬の閉山までが訪問期間で、冬季は閉鎖される。新緑が水面に映る5月下旬から6月が最も色が濃い。7月から8月は花が咲くが人も最多になる。9月下旬から10月中旬は紅葉と朝霧が重なり、放射冷却で霧が立つ確率が最も高い季節。朝は夏でも10度前後まで下がるため、防寒着は通年で必要になる。
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写真:663highland/CC BY 2.5(Wikimedia Commons)